今までFX裁量トレードのバックテストツールは「MT4裁量バックテスター」というソフトウェアを使ってきましたが、どうも私のPC(MacBook Air Early 2015にWindows10仮想化)では処理が重くなってしまい割とストレスになっていました。
そこで、この手のツールで最も有名なForex Tester 3(フォレックステスター3、以下FT3と省略)を公式サイトで思い切って買ってしまいました。早速使ってみましたがもっと早く買っておけばよかったと後悔するほど痒い所に手が届く代物でした。その後、現在の最新バージョンであるForex Tester 6(フォレックステスター6、以下FT6と省略)までアップデートしてきましたが、バージョンアップの度に改善してほしいと思っていた点も改善されていき、もはや私には欠かせないツールになってしまいました。
この記事ではFT3 → FT4 → FT5→ FT6と実際に使ってきて分かった、良かった点と改善してほしい点について報告します。
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買って良かった点
- 私の知る限りFT6だけローソク足を戻せる機能が付いていますが、この機能は必須でした。「MT4裁量バックテスター」を買った当時は、バックテストは未来を予測する練習なんだから巻き戻せても意味ないと考えていたのですが、今となってはリアルトレードの反省ポイントや逆に完璧だったトレードポイントを何回も反芻させて頭に刷り込ませるにあたり、この機能は大いに役に立っています。
- ノートPC(Windows10 on MacBook Air)でも割とさくさく動きます。FT4では月足や週足などの上位足を進めようとすると若干更新まで待たされる感じでしたが、FT5以降は動きが軽くなりました。
- ローソク足の再生スピードをかなり細かく調整できます。「MT4裁量バックテスター」では最速にすると速すぎ、一段遅くすると若干遅く感じ、ちょうどいい感じになりませんでしたが、FT5以降は微妙なスピード調整も可能です。さらにFT6ではホットキーで簡単にスピード調整できるのでテストがより捗るようになりました。
- 追加料金が必要にはなりますが、ティックデータを取り込んでテストすることができます。FT6本体の購入だけでは1分足データのみの付属なので1分足未満の動き(=ティック)は正確ではありません。スキャルピングする方やローソク足のプライスアクションを見ながらエントリーや決済する方はティックの動きまで再現できるVIPタイプの購入をおすすめします(別記事でも購入タイプの選び方を解説していますのでよかったら参考にしてください)。
- エントリー/決済ポイントがチャート上にマークされます。さらにトレード履歴をダブルクリックするとチャート上のマークにジャンプしますので、さくさくとトレード結果の反省がチャート上でできます。
- FT6では損切り位置とリスク%の設定から自動でロット数をセットしてくれる機能があります。複利で検証したい人には大助かりな機能だと思います。また損切りや利確の位置は、スポイトマークをクリックするとチャート上に水平ラインが表示されるのでそのラインを操作して視覚的に位置を決められます。この機能のお陰で検証がかなり楽になりました。
- 一連のバックテストをプロジェクトとして保存できます。例えば何かの手法に絞ってテストした結果をプロジェクトとして保存しておけば、他のテスト結果と切り分けられますし、プロジェクトを開き直して再開させることもできます。
- FT6ではMT4(MetaTrader4)のインジケーター/EA(Expert Advisor)/スクリプトをFT6のファイル形式に変換して取り込むことができます。最初からFT6にはメジャーなインジケーターやストラテジー(EA)が組み込まれていますが、カスタムインジケーターやEAもFT6に取り込むことができます(実際にMT4に標準で組み込まれている「OsMA」というインジケーターをFT6に取り込むことができました)。
ただし、mq4ファイル(ソースコード)はFT6形式に変換できますが、ex4ファイル(コンパイルしたファイル)は変換できません。あと、FT6形式に変換するにはForex Testerのサーバにmq4ファイルを送る必要があります。変換が終わったらサーバからファイルを削除するということなのですが、ソースコードを外部に送ることに個人的には若干抵抗があります。
- FT6ではラインなどの図形は瞬時に他の全時間軸にコピーされます。また十字線も時間軸間で同期されますので複数時間軸での検証がかなりやり易いです。さらにFT6では、トレンドラインや水平/垂直ラインをダブルクリックして開いた設定の中で直接ラインに対するテキストコメントを入力できるようになったので、ラインの意味をいちいち別のテキストとして追加しなくてよくなったのが地味に便利です。
- FT6では複数チャート間で横スクロールを連動できますので(時間を揃えられる)、複数時間軸でのチャート閲覧がかなり捗ります。しかも異なる通貨ペアでも連動します。
今やマルチタイムフレーム分析は当たり前なのでこの機能は必須と言えますが、FT6ではデフォルトでこの機能が使えますし、さくさく連動してくれます。また各チャート間で揃える位置を「左端」「中央」「右端」から選ぶこともできます。
- FT6では経済指標発表などのイベントがチャートにマークされ、マーク上にカーソルを合わせるとイベント時間は勿論のこと重要度まですぐに分かるので、いちいち自分で調べる手間が省けます。
- FT6ではチャートにマークを印してコメント(ノート)を残せます。トレード1件1件にコメントを残すことができて便利です。またコメントをダブルクリックするとチャート上のマークにジャンプすることもできます。
改善してほしい点
- FT4でラインなどの図形は全時間軸間で同期されるようになり使い易くなったのですが、上位時間軸にはラインをコピーしないといった細かい指定はFT6でもできません。同期する範囲を細かく指定できたらもっと良いのになと思っています。
- ラインなどの図形のスタイル(色など)はチャートに追加した後であれば変更することはできるのですが、チャート毎にデフォルトの図形スタイルを設定できるとよいと思います。これができれば時間軸毎に図形の色を変えたい場合などに便利です。
- チャートが4枚以上だと自動整列の水平表示でも垂直表示でも格子状にチャートが並んでしまい変わりがありません。格子状に自動整列する設定がそもそもないので、この設定があった上で4枚以上でも水平表示(縦一列)と垂直表示(横一列)ができればよいです。
- ポップアップウィンドウのテキストが途中で切れている場合があります。ウィンドウを広げたりスクロールもできないので詰みます。
私はVIPタイプで購入して4年分のティックデータでテストしてみたのですが、移動平均線を追加しただけで15分足のローソク足1本分の再生に若干タイムロスがありました。上位足になるほどさらに遅くなってしまいました。私のノートPCレベルではティックデータを使う時はインジケータなしでテストしないとストレスが溜まりました。FT5で動きが改善されました。
総評
やはり老舗のツールだけあってかなり高機能かつトレーダーが使いたい機能をよく盛り込んでいると思いました。ソフトウェアだけで3万円ほどするツールなので他の裁量トレード向けバックテストツールと比べると決して安いとは言えませんが、巻き戻し機能やティックデータなど他のツールにはない、もはや必須とも言える機能があります。リアルトレードに近い環境で何度も過去チャートを使って練習を繰り返せば3万円などすぐに取り返せると思えば安い買い物だったと思えるのではないでしょうか。