本記事は主要8通貨ペアのボラティリティ(値幅と出来高)を1時間毎に集計し、通貨ペア毎にその傾向を分析したものです。
1日のボラティリティ傾向は特にデイトレやスキャルピングトレーダーにとって取引時間を決める際にも役に立つと思われますのでご活用いただければ幸いです。
ボラティリティ傾向の分析内容
対象通貨ペア
EURUSD (ユーロ/米ドル)
USDJPY (米ドル/円)
GBPUSD (ポンド/米ドル)
AUDUSD (豪ドル/米ドル)
USDCAD (米ドル/カナダドル)
USDCHF (米ドル/スイスフラン)
EURJPY (ユーロ/円)
GBPJPY (ポンド/円)
対象FX本番口座
OANDA Japan 東京サーバー 500K
データ取得期間(日本時間)
2020年10月19日(月) 市場オープン 〜 2020年10月24日(土) 市場クローズ
分析方法
1週間分の1時間あたりの値幅と出来高を取得する(※値幅と出来高の定義は以下注釈参照)。取得したデータをもとに1時間毎の値幅と出来高それぞれの平均を集計し傾向を分析する。
※ 値幅と出来高の定義
値幅 | 単位時間あたりの高値と安値の差(pips) |
出来高 | 単位時間あたりのティック数 |
通貨ペア別ボラティリティ傾向
下記に出てくる時間は全て日本時間です。またデータ取得期間は夏時間なので冬時間で考える場合は適宜1時間繰り下げてお読み替えください。
EURUSD (ユーロ/米ドル)
下図集計結果から、EURUSDの傾向は1日を通して見るとオセアニア時間から東京時間にかけては比較的ボラティリティは小さいと分かります。
日本時間15時台からボラティリティが顕著に大きくなり始め16時台で値幅は1日のピークに達しています。データ取得期間は夏時間なので欧州早出組が15時台から活動を始めた頃からボラティリティが顕著に大きくなり始め、欧州勢が本格参入し始める16時台が最も活発な商いになったと思われます。
17時台から19時台までは徐々にボラティリティが落ちますが20時台から23時台にかけて1日を通してもう一つ16時台と同じような山があります。これは欧州勢が少し落ち着いた後に米国早出組が20時頃から活動を始めて米国の指標発表などもからみ23時近辺で欧州勢と米国勢ダブル参加で盛り上がっていると考えられます。
USDJPY (米ドル/円)
下図集計結果から、USDJPYの傾向は日本時間9時台に1日を通して値幅は最高潮に達しています。これは日本の金融機関が仲値を公示する10時にかけて取引が活発になるためと想定されます。
欧州時間からニューヨーク時間にかけては15時台から顕著にボラティリティが大きくなり始め16時台に1日を通して3番目に大きい山を迎えます。これはEURUSDと同様15時台から欧州早出組参入から16時台で本格参入してくるためと思われます。
17時を過ぎると徐々にボラティリティも落ち着きますが20時台から再び活発になり23時台で出来高は1日で最も大きくなります。EURUSDは欧州勢が一番参加する通貨ペアと推測されるので欧州時間が最もボラティリティが大きかったのに対して、USDJPYは東京時間とニューヨーク時間のボラティリティが大きい傾向にあります。
GBPUSD (ポンド/米ドル)
下図集計結果から、GBPUSDの傾向は圧倒的に欧州時間からニューヨーク時間にかけてが1日を通してボラティリティが大きくなる時間帯です。15時台から顕著にボラティリティが大きくなり始め16時台が1日の中で2番目に大きい山です。値幅と出来高のピーク時間はそれぞれ22時台と23時台になっているので、22時から23時台が最も活発になると見てとれます。
AUDUSD (豪ドル/米ドル)
下図集計結果から、AUDUSDの傾向は欧州時間からニューヨーク時間にかけてはGBPUSDと傾向が似ています。特徴的なのはオセアニア時間から活発で東京時間にかけて1日の中では3番目に大きなボラティリティの山になっています。
USDCAD (米ドル/カナダドル)
下図集計結果から、USDCADの傾向はEURUSDと大方同じような傾向にあります。ただ1日のボラティリティのピークははっきりとニューヨーク時間の23時となっており北米中心の取引通貨ペアであることが伺えます。
USDCHF (米ドル/スイスフラン)
下図集計結果から、USDCHFの傾向はEURUSDとかなり似ています。すなわち16時台と23時台に同じようなボラティリティの山があります。やはりスイスはユーロ圏ということで似てくるのだと思われます。
EURJPY (ユーロ/円)
下図集計結果から、EURJPYの傾向はEURUSDとUSDJPYの合成通貨ペアらしくそれぞれの通貨ペアの特徴があわせっています。すなわち16時台と22時台に1日の中で同じ程度のボラティリティのピークがあり、日本の仲値公示がある10時前の9時台が3番目に大きい山になっています。
GBPJPY (ポンド/円)
下図集計結果から、GBPJPYの傾向はGBPUSDとUSDJPYの合成通貨ペアらしくそれぞれの通貨ペアの特徴があわせっています。すなわち22時から23時台にかけて1日で最もボラティリティが大きく、16時台が続いて大きいです。そして日本の仲値公示がある10時前の9時台でも山がありますがEURJPYほどは顕著ではありません。EURJPYのほうが日本勢にとっては取引量が多い影響と考えられます。
まとめ
1時間毎にボラティリティを集計してみると、どの通貨ペアも16時台に一つのピークがあった後は20時台頃まで一旦ボラティリティは落ち着く傾向にありました。そして20時台から再び盛り上がり始め22時台か23時台にもう一つの山が見られました。
上記全体的な特徴に加えて通貨ペア毎の特徴もありましたので、通貨ペア個別のボラティリティの特徴を最後に一言ずつまとめて筆をおきたいと思います。
通貨ペア | 本記事分析結果からの1日のボラティリティ特徴 |
---|---|
EURUSD | 16時台と23時台に同じ程度のピークあり |
USDJPY | 日本の仲値公示10時前の9時台とニューヨーク時間の23時台がボラティリティのピーク |
GBPUSD | 欧州時間とニューヨーク時間のボラティリティが圧倒的で特にニューヨーク時間22時から23時台は活発 |
AUDUSD | オセアニア時間から東京時間にかけても取引が活発 |
USDCAD | ニューヨーク時間の23時台が特にボラティリティが大きい |
USDCHF | EURUSDと同じ傾向 |
EURJPY | EURUSDとUSDJPY両方の特徴を持つ |
GBPJPY | GBPUSDとUSDJPY両方の特徴を持つ |